融資相談の傾向から見る2020年の振り返り | 仙台創業融資サポートオフィス

2020年初めから現在で融資を取り巻く環境は大分変化が有った様に思えます。

今年を振り返るには未だ1ヶ月以上有る中、できるだけ早くこの変化についてお伝えしようと思いコラムを作成致しました。*この記事を作成している時期が11月中旬です。

今回のコラムを第1回として全4回シリーズで書きたいと思います。

第1回 融資相談の傾向から見る(ちょっと早い)2020年の振り返り

第2回 融資成功事例の分析、失敗事例の分析(前編)

第3回 融資成功事例の分析、失敗事例の分析(後編)

第4回 今後の傾向と対策について

今回は2020年前半から現在までの振り返りについてです。


2020年の融資相談にお越しいただいた相談者の皆様の業種についてまとめます。

以下ランキングはみらい創研グループで受けた融資相談数を業種別に集計したものです。

1位 飲食業

2位 建設業(全般)

2位 建設業(内装業)

4位 配送業

5位 保育園

5位 整体業

5位 物販系

 

1位の飲食業は予想通りの結果でした。

自粛要請・緊急事態宣言、お祭りや大小のイベント中止、更には営業に際してのいわゆる3密を避ける要請など

売上を得るためには厳しい要因だらけの状況です。店を一時的に閉めても主要経費である家賃・人件費は発生し続けます。

相談のほとんどはこれら経費=運転資金に充てるための融資相談でした。

 

2位の建設業(全般)、同率2位の建設業の中で内装業については宮城県特有の事情が有り説明が必要です。

内装業も建設業の一つですが融資相談においては特に相談数が多かったため1業種として順位付け致しました。

 

宮城県は建設業が多い地域です。特に東日本大震災後、建設業の開業が集中した時期が有りました。

当時のみらい創研グループにおいても法人設立の相談を受け年間の業種統計を取った結果、建設業が占める割合が5割近くだった年も有った程です。

復興関連の工事はもちろん、同時期にマンションの建設も増え、更には地下鉄の工事も急ピッチで進められていました。

当時は建設業全体で仕事も多く開業が増える中、比較的設備投資額が低く抑えられる内装業の開業数が多くなったと思われます。

令和2年の前半期に緊急事態宣言下で業務が止まったこと、それ以前から新設住宅着工数の月平均値も下がりつつあったことも加わり、融資相談数の増加に繋がったと思われます。

ただし、仙台市の統計資料を見る限り2020年後半からの着工数は徐々に増えており、現場の進捗を回復させようとする動きが有ります。

 

4位の配送業も県内特有の事情が有ります。

GAFAに名を連ねるECサイト運営企業が自社独自の配送パートナーを宮城県内で募集したことが関係します。

今回の1~5位の業種の中で、この業種と5位の卸業系が創業に関しての相談が多かった業種です。

軽ワゴンなどの配送車購入など初期投資や法人化についてのご相談が中心でした。

宮城県内では新規募集を一時停止しているようなので(2020年11月12日現在の情報)募集再開時にはお問合せが増えそうです。

 

5位保育園・整体業・卸業系

保育園と整体業のご相談内容は飲食業とほぼ同じ理由です。

園児や患者さんが施設利用ができないため、売上を得られず再開までの繋ぎ融資のご相談が中心でした。

同率5位の3業種の中で卸業系だけ事情が異なります。

卸業系はいわゆる「せどり」と言われるお仕事です。

外出自粛が続き、ECサイト利用が増えたことも起因し個人で始めたせどり事業が大きくなり

法人化や仕入れた製品の保管場所の整備などのご相談でした。

必要とされる時期や地域にダイレクトに物を供給でき、それを個人単位で行えるのがこのビジネスの魅力です。

サラリーマンの副業解禁が進む中この業種の開業・融資相談は今後増えていくと思われます。


相談内容の移り変わり

2020年前半特に3月以降は運転資金の融資相談が全相談数の9割を閉めました。

創業融資の相談も有りましたが「開業はコロナ禍が落ち着いてから」と延期する方も多かったです。

9月に入りようやく創業融資の相談数が増えてまいりました。

空きのテナントが増えたことも有り飲食店の開業が多いと感じます。

特徴的な事案として、高齢になった飲食店主の方がコロナ禍で引退を決意しそのまま居抜きで他者が引き継ぐというパターンでの開業・融資相談が数件有りました。

この様な事例は未だ少ないですが、飲食店舗の閉店が増え続ければ同様の事例が続けて出てきそうに思います。

 

金融機関側の動き

政府が緊急経済対策、資金繰り支援策を推進したため6月頃まで銀行・日本政策金融公庫共にスピード重視の感が有りました。

7月以降は事業計画の中身をしっかり時間を掛けて見てくるようになってきており

特に飲食業や小売業などのコロナ禍の影響を強く受ける業種の融資については厳しくチェックされる傾向が有ります。

ただし、その中でも当社が関わった事案で夏以降に飲食業の創業において1,000万円を超えるの融資の実行ができております。

金融機関においては、審査基準とスピードを通常に戻しつつ、特定の業種は慎重に検証しているという印象を受けました。


今後増えると思われる相談内容

コロナ禍における経済対策の制度融資を受けた方の中には返済開始を半年~1年程度遅らせている方もいます。

開始直後に制度融資を受けた場合、今から返済が始まる頃です。

しかし、本年末~2021年前半のビジネス環境はどの様に考えても「厳しい・難航・不透明」という言葉しか浮かびません。

これらの実情を踏まえると追加融資や返済計画の相談が増えると想定しており、現に相談数が増え始めてきました。

宮城県内・仙台市内の飲食店や多くの店舗型ビジネスは未だ暗中模索の状態です。

街に人通りが戻ってきたように見えても、店内に入る人数は制限され当然1時間当たりの売上は伸び悩みます。

街を見渡した印象と実店舗の売上には未だ乖離があると言わざるを得ません。

特に来店型のビジネスにおいては2020年末~2021年前半期は資金管理は厳にしていく必要があります。

融資相談は資金に困ってからでは手遅れです。今のうちに是非ご相談ください。

 

今回は融資現場における2020年前半から現在までの振り返りのコラムを書きました。

第2回・3回目のコラムでは「融資成功事例の分析、失敗事例の分析」を前編と後編に分けて書きたいと思います。

次回は2020年11月19日に掲載予定です。

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