これから農業を創業しようとする方に読んでもらいたいブログ
仙台創業融資サポートオフィスのブログをご覧頂き誠にありがとうございます。
12月は業種別に創業時の資金繰りに関する注意点についてブログを書いております。
今回のテーマは「農業」です。
農業業界は家業的な経営が激減する一方で農業を営む法人が増え業界全体の構造が大きく変わっている過渡期に在る業界です。
国が積極的に農地取得の規制を緩和している事も手伝い、経営母体の法人化が進んでいます。
これからの10年で耕地と就農者の様相がガラリと変わると思われます。
農林水産省の5年おきの統計調査から東北の状況を抜粋すると
農業を事業とする組織数はH17年:378,216件→H27年:247,713件(約-35%) *個人事業・法人・組合含む
農業を事業とする法人の数はH17年:2,442件→H27年:3,660件(約+33%) *組合含む
更に耕地面積はH17年:870,700ha→H27年:848,400ha(約-2.5%)
農家全体では5年間で35%減少したのに対し法人数は33%増加となっております。
しかし、耕地面積の減少は2.5%に留まっており1事業体当たりの耕地面積は増えました。
国が進めていた農地の集約化、運営母体の法人化の成果がはっきりと数値に表れました。
その一方で帝国データバンクの倒産状況調査では野菜類を主とする「野菜作農業」の倒産数が過去最多との調査結果も出ており
農業で収益を上げ続ける難しさも同じくデータ上で現れたと思われます。
1 農業で売上を増やすには
農業で売上を増やすためには先ず何より供給量を増やすことです。
常に大量に買ってくれる納品先に一定量供給し続ける体制を作るか
高く大量に買ってくれる時期に合わせて供給量を合わせるかのどちらかになります。
前者はスーパーの売り場に常に陳列されているレタスやトマトを思い浮かべてもうらうと分かり易いでしょう。
後者は宮城県内におけるブランド「仙台いちご」について例に挙げます。
苺が一番高く売れるのはクリスマスのある週です。
12月上旬からクリスマス直前に掛けて値が上がるので収穫のピークもそこに来るように育苗の時点から調整されます。
農業における売上拡大に必要なのは必要な時期に、必要な量を供給できる体制が作れるかです。
言葉で書くのは簡単ですが、植物が相手の仕事です。明日に合わせて大きくなれ!と大きくはなってくれません。
これらは全て長い期間を掛けてノウハウやデータの集積が必要です。
農家が集まって組合、農地所有適格法人を立ち上げ組織化することはノウハウやデータの集積をし易い環境とも言えます。
2 利益を上げる超えるべきハードル
夫婦や家族で営む小規模農業の強みには管理のし易さが挙げられます。
畑の隅々まで目を光らせることができるため個人の感覚をそのまま品質・コスト管理に活かせるからです。
広い耕地面積を構える大規模農業には同じ事はできません。
しかも、納品時の額はある程度の水準で留まる事が多いです。
大量の農産物を生産する為に大型設備を構え、日照不足、雨不足で製造コストも増えたのに納品時の金額を増やすことができない。
上述した「倒産数が過去最多」とい現象の背景にあるのは、自然が相手の農業の難しさに加え
なかなか単価を上げられないことも起因している様に思えます。
大規模農家で必要な収益を上げるには品質管理、コスト管理両面で数字による管理が必須になります。
広大な耕地において管理をしなければならず個人のカンや経験だけでは追い付きません。
品質管理においてシステムを導入し体制を整えている事業者は多いと思いますが
コスト管理も同様の事業者は果たしてどれくらいあるでしょうか?
必要な精度として
例えばハウス1棟当たり暖房用重油の前日の使用量を即座に算出できる程度の精度が必要です。
時間単位で算出できれば更に可です。
経営者の意識が生産農家から農産物生産工場へと意識を変えられるかがポイントと思います。
仙台創業融資サポートオフィスではこのようなコスト管理についてもサポートを致しますので一度ご相談ください。
3 6次産業というカッコイイ言葉に踊らされてはいけない
畑から取った果実や野菜を用いたお惣菜の製造と販売、レストラン経営、更にはワインも作っています!
よくテレビで見かける光景です。
しかし、農産物の生産においてコスト管理をしなければレストランやワインで得た儲けも即無くなってしまいます。
以前、ご相談を受けた事例として国の補助金で農業生産部門の赤字を補填し、お惣菜の販売店とレストランを何とか維持していたという事例もありました。
加えて、農業においてまとまった資金が必要になる時期と製造・飲食店において資金が必要になる時期は異なります。
補助額の削減や補助の停止になれば即数千万の損失がでる危険な状態であり
早い段階でコスト管理を専門で行う人員やコスト管理システムを導入すれば避けられる事案でした。
生産の黒字化、資金の管理が図れれば農業の未来は明るいと思います。
これから農業を始める、農業法人や農地所有適格法人(旧農業生産法人)を立ち上げる方はコスト管理にも注力してください。
仙台創業融資サポートオフィスでは、融資はもちろん創業から運営まで一括してサポートできる体制で皆様をお待ちしております。
*農地所有適格法人の解説については仙台行政書士法人/みらい創研グループのブログに記載しております。
最後までご覧頂きありがとうございました。
仙台創業融資サポートオフィスは専門家が多数在籍するみらい創研グループのグループ会社です。
このブログをご覧になっている経営者の方からのご相談をお待ちしております。
みらい創研グループのfacebook、twitter、Youtubeでは税金、社会保険、融資、補助金、不動産、相続など様々な専門情報を発信をしております。
是非、フォロー・好評価をよろしくお願いいたします。
Facebook:https://www.facebook.com/miraisouken
twitter:https://twitter.com/MiraiSokenGroup 又は @MiraiSokenGroupで検索
Youtube:【みらい創研チャンネル】経営お悩み解決
https://www.youtube.com/channel/UCugh8qKcfYWxomt6Ym3FcRg
創業融資専門家コラムの最新記事
- 新規開業資金・新創業融資制度とは?起業・創業・開業時に役立つ日本政策金融公庫の融資制度
- 新型コロナウイルス感染症に係るセーフティネット保証4号と5号
- 利子補給が与える資金繰りへの影響について 日本政策金融公庫の融資制度
- 実質無利子の利子補給が令和4年6月末まで延長へ 日本政策金融公庫の融資制度
- 新型コロナ対策資本性劣後ローンとは何か?返済方法・金利の特徴 日本政策金融公庫の融資制度
- 新型コロナ対策資本性劣後ローンとは何か?劣後ローンの意味 日本政策金融公庫の融資制度
- 新型コロナ対策資本性劣後ローンとは何か?資本性ローンの意味 日本政策金融公庫の融資
- 新型コロナ対策資本性劣後ローンとは何か?制度の特徴・融資条件について解説!日本政策金融公庫の融資制度
- 新型コロナウイルス感染症特別貸付と実質無利子の利子補給とは?日本政策金融公庫の融資
- 中小零細企業にとって痛手になるか?高まる賃上げ機運と支援策について
- 令和3年12月1日付けで公庫の金利が変更になりました
- 会社設立・創業・独立するため会社を辞める前にチェックすること!
- 会社設立・創業・独立後の1期目赤字は損か?得か?
- 会社設立・創業・独立時に社会保険労務士の顧問は必要か?
- 会社設立・創業・独立時に税理士の顧問は必要か?
- 会社設立・創業・独立時に融資は必要か?
- 会社設立時の手続き 社会保険・年金・労災・雇用保険編
- 会社設立時の手続き 税務署・都道府県、市区町村編
- 会社設立のメリット・デメリット 税金編
- 株式会社と合同会社の設立時の注意点
- 食料品小売業の他にコンビニのフランチャイズ加盟料にも使える「食品貸付」 日本政策金融公庫の融資制度
- 新型コロナウイルス感染症に係るセーフティネット保証4号の指定期間が再々延長されました 令和3年8月23日発表
- 災害時に利用できる「災害貸付」 日本政策金融公庫の融資制度
- 取引先が倒産??イザ!という時に!取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸付)日本政策金融公庫の融資制度
- 無担保・無保証・低金利!中小企業経営力強化資金 日本政策金融公庫の融資制度
- お店や会社が災害に遭ったら返済はどうなる?事業者の被災の備えとは?
- 新型コロナウイルス感染症に係る危機関連保証が令和3年12月31日まで延長
- 対象期間が9月1日まで延長に!セーフティネット保証4号 コロナ禍で利用できる銀行・信用金庫の融資制度
- 女性、若者/シニア起業家支援資金 日本政策金融公庫の融資制度
- 創業時にお世話になる方多数!新創業融資制度 日本政策金融公庫の融資制度
- 創業期の資金確保に!新規開業資金 日本政策金融公庫の融資制度
- 公庫融資借換特例制度 日本政策金融公庫の融資制度の活用
- 個人事業者には売上減少の要件無し 新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度
- 日本政策金融公庫の融資制度 新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変対策特別貸付
- 【飲食業や旅館ホテル業向き制度】日本生活金融公庫の融資 生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
- 日本生活金融公庫の融資 新型コロナウイルス感染症特別貸付(国民生活事業)
- 日本生活金融公庫の融資 セーフティネット貸付の要件緩和
- 銀行とのお付き合い 悪い情報ほど共有が重要!
- 銀行とのお付き合い 融資その後に
- 銀行とのお付き合い 銀行に自社を理解してもう事の重要性
- 銀行とのお付き合い 融資担当者の仕事を知る
- 銀行とのお付き合い なぜお付き合いが必要か?
- コロナ禍の建設不況 これから起業・事業拡大を目指す方への提案
- コロナ禍の建設不況 宮城県内における建設業界の見通し
- コロナ禍の建設不況 大量廃業の時代に突入
- 「事業再構築補助金」 申請支援サービス開始のお知らせ
- 令和3年1月22日適用 コロナ融資がより借りやすくなる? 銀行(信用保証協会付き融資)編
- 令和3年1月22日開始 コロナ融資は借りやすくなったか? 日本政策金融公庫編
- 緊急事態宣言下の店舗運営 この時期の新規開店は無謀か?
- 緊急事態宣言下の店舗運営 猶予制度・減免制度の活用
- 緊急事態宣言下の店舗運営 資金繰り表を書いてみよう!
- 緊急事態宣言下の店舗運営・資金管理・融資
- これから軽貨物運送業を創業しようとする方に読んでもらいたいブログ
- これから飲食業を創業しようとする方に読んでもらいたいブログ
- これから建設業を創業しようとする方に読んでもらいたいブログ
- 2020年末から来年前半期までの融資に関する傾向と対策|仙台創業融資サポートオフィス
- 融資成功事例の分析、失敗事例の分析 後編|仙台創業融資サポートオフィス
- 融資成功事例の分析、失敗事例の分析(前編) | 仙台創業融資サポートオフィス
- 融資相談の傾向から見る2020年の振り返り | 仙台創業融資サポートオフィス
- 融資の相談をしたいがどのタイミングで相談すれば良いのか?
- 設備資金と運転資金の違いは?
- 「一度断られたが再申請は、可能ですか。」
- 融資を考え始めたら、通帳を見直してみましょう
- 融資を受けるために同業他社を調査しよう
- フランチャイズ創業の場合何か気を付ける点はあるのか
- 妻を社長にして融資申請をすることは可能か
- 実績のない個人でも創業資金を借りられるのか
- 創業時に気を付けたいこと
- 創業時、どこで借入する?日本政策金融公庫をススメル理由
- 役員報酬はいくらにしたらいいの?
- 創業時に必要な自己資金は?
- 事業計画書を作成する目的とは
- 日本政策金融公庫の融資は開業したばかりがチャンスな理由