融資成功事例の分析、失敗事例の分析(前編) | 仙台創業融資サポートオフィス

前回は少し早い2020年の振り返りを書きました。

今回は融資成功事例の分析、失敗事例の分析のコラムを書きたいと思います。また、文が長くなるため次回も同テーマで後編をお送りします。

最初に注意したいのが融資の審査を通す際には裏技のような手段は無いということです。

金融機関の審査は程度の差は有れど保守的な視点でチェックされます。

貸し付けた資金が返済不能になるのはどの金融機関でも嫌ですから当然です。

裏技は無いのですが融資審査が通りやすいパターンは有るように思います。

もちろん、金融機関毎に審査基準が有るので同じ状況で融資申請書を提出してもA行では審査が通り、B行ではダメだったということもありますのでご留意ください。


では、融資審査が通りやすいパターンとはどういったものでしょうか?

先ずは創業融資の場合です。

1 前職の経験がこれから創業しようとしている業種と同じ又は関連性の高いものである

2 実績や実力を証明できるものが有る

3 一定以上の自己資金を準備できる

どれも当たり前と言われそうですが「これから融資を受けたい」と相談を受けると上記の準備不足を否めない方は一定数いらっしゃいます。

もちろん、準備不足であっても新しい事を始める勇気とパワー、決断力をお持ちの起業家は尊敬できる方ばかりです。

しかし、金融機関の融資審査は勇気とパワー、決断力をも書類で表現し理解してもらわなければなりません。

その書類に書くべき内容についてご説明します。

重要視されるのが1の「経験」2の「実績・実力」です。

飲食店経験者が飲食店を開業、配管工事の技術者として経験の有る方が水道工事業を開業など

これまでの経験値をダイレクトに活かせる開業は融資審査をする側にとって非常に有効に働く判断材料です。

この他、飲食店経験者が食品卸売業を開業、工事技術者が工事資機材の卸売業を始めるといった、これまでの経験を活かせる関連業種の開業をする場合も同様です。

では、一度も職業として就いたことの無い事業では融資を受けることができないか?

受けにくい事は間違いありません。しかし、職業として得た実績・経験と同一視してもらえるよう

コツコツと実績を積み重ねていき証明する事は可能です。

例えば、飲食店での勤務経験は浅いので一時的に飲食店に勤務したり、催事で出店などを繰り返し実績を積み重ねていくといった事例も有ります。

また、自身では技術や経験が足りないので、その業種の経験者と一緒に開業することで実績・経験を補完することもできます。

3の一定以上の自己資金を準備できるかたについてですが、自己資金0で自分の経済的な信用度を証明する事はとても難しいです。

目安は3分の1と言われます。*業種・内容によって異なります。

業種によっては設備投資が重なり、必要とする開業資金が大きくなる事も有り、それを一部とは言え自分で準備する事は非常に大変なことだと思います。

しかし、金融機関側の立場から見れば、融資相談に訪れた方の開業準備レベルを見定める一つの基準にもなります。

融資額の大きさに比例して返済を滞らせないよう、より厳しく見られることもご理解いただけると思います。

 

まとめますと創業時の融資を受けるには自分自身がどれだけの「経験・実績・資金」の積み重ねてきたかを証明することが必要です。

どの程度まで積み重ねる必要が有るかは無料相談でお聴きください。

*日本政策金融公庫や自治体の融資制度の中には特定の業種の創業を促すため自己資金0でも可という融資制度が設定されることも有りますが年度やその時の政策により要件が異なります。例:自治体で実施する就農支援事業など


次に、実際に創業融資に成功した事例をご紹介致します。

*ご注意 これら事例に記載された内容は本年以外の時期も含めてご紹介しております。文中に登場した必要書類等は現在のものと異なる場合があります。

事例1 販売業で創業し融資額:500万円の事例

複数の販売ルートと商材が有りルートと商材ごとに細かなビジネスモデルをお持ちでした。

それを事業計画書に落とし込み、自己資金も準備し融資実行となりました。

コロナ禍の影響で販売業は融資の際も時間を掛けて審査されますが、その中で融資実行されたのはAという商材ならこの方法、Bという商材ならこの販売ルートで…とどうやって売るかをしっかり説明できたことが大きな成功要因と思われます。

事例2 建設業で創業し融資額は1000万円

元々個人事業で10年以上経営している方でしたが、いわゆるドンブリ勘定の状態でした。

当社のコンサルタントと税理士で確定申告書の内容を精査し取引先別の売上リスト、直近3年の工事別の売上・経費の算出をし簡易的な工事台帳を作成しました。

元々取引先が多く、信用もされていた方でしたが書類仕事が苦手なため自己流で融資を申し込んでも通らない可能性が有りました。

書類の整備をサポートし売上・工事原価、特に人件費の説明ができるようシュミレーションをしたことが成功要因と思われます。

 

創業融資失敗の事例もご紹介致します。

失敗と言っても融資審査をし通らなかったと言う訳ではありません。創業融資サポートオフィスでは融資実行可能性が低いと判断した場合、そもそも金融機関への融資申し込みをしないように勧めております。

一度融資が断られると次の審査の際により厳しく見られる傾向が有るからです。失敗の可能性が高いのに再チャレンジの際に更に成功率を下げるリスクを負わせるのでは全く意味が有りません。

では、どのような状況だったか?

フランチャイズの加盟をするため加盟金と初期の設備・運営費用の融資のご依頼でした。フランチャイズ加盟前の融資相談はよくの有る事案です。

このご相談については、融資申請を行うのを一旦止めて、以下の準備をするようにお伝えしました。

1 フランチャイズの加盟金相当額は自己資金で準備すること

2 出店予定地の市場調査、売上予測を自分の考えで説明できるよう準備をすること

融資を断られると判断したのは自己資金が全くないことに加え、事業計画書の主となる売上予測の元となるデータ不足でした。

売上予測の根拠となる数値が全てフランチャイズ本部の提出した資料を丸写ししたものでした。

フランチャイズの本部は加盟希望者のため商圏内のマーケティング調査を行ってくれる場合があります。

しかし、そこで得た数値は現地の雰囲気を帯びていない数値です。

よくあるパターンとして仙台の人口規模が近い、東京の23区のどこかの区の数値を出し、一律何%と算出するものです。

仙台に限らず、ある程度の人口規模と面積の地方都市では、同じ市内であっても東・西・南・北で商圏の性格は異なってきます。

他商圏の数値をそのまま地方に当てはめただけの予想値は参考程度にしかなりません。

人口こそ似ているかもしれませんが、商圏の昼夜人口とその流入元や流出先、平均所得と所得別の構成比、年代別の構成比などはその地域毎に違います。

こういった自分の目と耳、足で得た数値がこの事業計画書には不足しておりました。

実績や経験の少ない部分を補完するためフランチャイズ運営会社の提供するノウハウやブランド力を利用すること自体は悪い手段ではありません。

問題はこれから仕事をする商圏の生きた情報がとても少なかったことに有ります。

金融機関が融資の審査をする際に、この商圏分析や売上予想と言った数値にどれだけ現実味を感じさせるかは大事なポイントです。

 

創業はご自身の人生にとって大きな転換期になる出来事です。また、経営者になる最初の一歩でもあります。

仙台創業融資サポートオフィスはこれから経営者になる皆様の不安を少しでも解消できるようお手伝い致しますので、是非一度ご相談ください。


 

今回は「融資成功事例の分析、失敗事例の分析 前編」とし主に創業融資について書きました。

次回はシリーズ三回目「融資成功事例の分析、失敗事例の分析 後編」運転資金・設備資金の融資について書きたいと思います。

2020年11月24日に配信予定です。

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