これから飲食業を創業しようとする方に読んでもらいたいブログ

12月は業種別に創業時の特に資金繰りに関する注意点についてブログを書いております。

12月1日のブログでは建設業の創業をテーマにしました。

 

宮城県内では建設業の就労人口は1割を超える産業で関連する業種を入れれば更にその割合は増えます。

第2回のテーマも同じく就労人口の多い「飲食業」を取り上げたいと思います。

以下は宮城県内で飲食業に従事するの就労者・事業所の割合です。

出展:平成28年経済センサス活動調査 産業別集計/e-statから抜粋(政府統計サイト)

飲食業の事業所数:10715/97479( 10.9%)、従業者数75901/1004797人(7.5%)

*()内の%は総数に対する割合

建設業と共に宮城県内を代表する産業の一つと言えるでしょう。

 

飲食業の特徴としてよく言われるのが「開業し易く、廃業率が高い」ことが挙げられます。

同じく「開業した飲食店の70%は3年以内に潰れる」とも言われます。

実際に3年以内に70%が潰れるか否かは地域と年代によりばらつきが有りそうですが

入れ替わりが激しいというのは仙台市街地を見ると感覚的にも理解できます。

 

飲食店の経営は気候・立地・景況感に対し敏感に反応する業種です。

立地は去年と同じでも商圏内にマンションができると客層や単価が増加したり

当日と次の日の気温差が2度違うと売れるメニューが変わるとさえ言われます。

それだけに飲食店経営に関する著書やコンサルティングサービスは非常に数が多くどれが正解かも分かりません。

有名な店舗で修業した料理人が人通りの良い立地に店舗を出しても、数か月後には閉店…といった悲しい事案は日常的に起こり

このブログの書いている私の父も料理人であり上記のようなパターンで1年で店をたたみました。

仙台駅前に在った著名なホテル(現在は閉店)で修業し、当時観光業で拡大をしていた会社の目玉事業として開業したレストランで料理長を務め

その後も宮城県内のホテル、レストランで料理長や責任者を歴任後、30年前に独立しましたが1年で閉店となりました。

今の私が、当時の父の飲食店創業を手伝っていたら…という「もしも」を想定して今回のブログを書きたいと思います。

 

1 開店前に間違えているあの店

腕の有る料理人が陥り易い間違え…資金計画の失敗

「3ヶ月分の運転資金(広告費含む)を準備して開業する」

飲食店の創業において資金計画はこれに尽きます。

言葉では簡単ですが、飲食店の開業にはとにかく設備・店舗にお金が掛かります。

資金の余裕を作ることは難しい問題なのは承知の上です。

しかし、あまりに多くの飲食店創業者が運転資金の余力が無いままにスタートしてしまいます。

3ヶ月は贅沢としても1~2ヶ月でも余力を残してスタートして頂きたいのです。

例えば自己資金200万、融資で400万。合計600万円の開業資金を得てスタートしても

厨房機器は高額、更に飲食テナントの敷金で6~12か月となると1~3ヶ月の運転資金を残すには

立地、厨房機器、什器など色々と妥協が必要になります。

しかし、料理人として良い経歴を積んだ方ほどこの妥協が難しくなるのです。

開業直後に追加融資の手配をするか、開店準備段階で資金を残すべく妥協をするか…

素晴らしい料理店を開くべく準備の最中でかつ、腕に自信の有る方にこの提案をするとなかなか聞き入れてもらえません。

しかし、開店直前・直後のこの判断で3ヶ月~6か月後の運命が変わってくるのです。

 

旨いことが第一だが…

何故これほどまでに運転資金の確保に拘るかと言いますと、飲食店の売上増減は非常に不安定だからです。

ブログの最初に述べた通り「気候・立地・景況感に対し敏感に反応する業種」であり

思った通り行かない事が非常に多いからです。思った通り行かなくとも固定費は出ていきます。

また、広告費の確保についても同じです。思った通り集客ができない際には広告費が必要になります。

いくら料理が旨くても必要な人数の来客に繋がらければ商売としては意味が有りません。

口コミが広がるにも、SNSで拡散されるにしても時間が掛かります。

飲食店の繁盛には「旨い」が第一であることは間違いありません。

しかし、自分の提供した「旨い」と商圏内の顧客の「旨い」を一致させなければなりません。

その一致をさせるには飲食店側の歩み寄りやPRと結構な時間が必要である。

その時間を生み出すにはお金に余力が必要である。

と言うのが、少年の頃には父親の閉店を…成人してからは仕事を通して閉店を見てきた者としての考えです。

 

2 動きやすい経営

上記1で何故、飲食店創業直後に運転資金に余裕を持たせる必要が有るかの考えを書きました。

自分で考えたコンセプトが店舗の立地している商圏では合わなかったという事案はよくあることであるし

出店前に予想したコンセプトが商圏のニーズと完全に合致することは稀であると思います。

創業後に軌道修正をするための余裕を持てるか否かはとても重要です。

ここで言う余裕とは「資金」はもちろん、店舗敷地内の「空間的余裕」や経営者自身の「時間的余裕」です。

最初からこれら「資金」「空間」「時間」の余裕が無くガチガチに固めてしまうと修正ができなくなってしまいます。

気候・立地・景況感のような外的要因に加え

店舗入り口の位置や形状、間口の大きさ、看板の文字の色や大きさの違いといったソフト面の違いでも客入りが違うような業態です。

修正を前提にした準備をした方がむしろ現実的ではないでしょうか。

「料理を作り提供する」以外の部分に経営者がアクションを起こせるか?アクションを起こしやすい環境か?というのは

特に創業当初においては立派な厨房機器や高価な漆器を揃えるより重要と思います。

 

3 二店舗目を考える…その前に

飲食店の売上向上の制約要因として「立地」が有ります。

飲食店を創業する方の目標の中には「多店舗化」を描く方も当然いらっしゃるでしょう。

飲食店は原則的に商圏内の見込客数には限りがあります。*そうではない場合も有りますが長くなるのでここでは割愛致します。

多店舗化は更なる売上増加のために有効な手段です。

しかし、二店舗目の出店は飲食店にとっては言葉通り「身を切る」出来事となります。

創業後順調に売上を伸ばしたものの二店舗目で失敗し倒産…または資金面で大きなダメージを受け事業規模縮小など

二店舗目は正に命がけの経営判断と言えるかもしれません。

立地の異なる場所での二店舗目は創業と同じです。違う点は経営者にとっては一度経験している事であるという点です。

しかし、そこに落とし穴が有り一店舗目と全く同じと考えていれば「危険」です。

店の立地が変われば商圏は変わり、準備する物事も変わってきます。当然ですが料理人も変わるため味も変わります。

二店舗目を考えるときは、一店舗目の引継ぎではなく新たな創業と考えた方が分かり易いでしょう。

 

4 調理場から離れるとき

料理とサービスを自分の目の届く範囲で提供していきたいとお考えの場合は、

続けられる限り「料理人兼経営者」で続けていくことが最良と思います。

地域に愛され「いつもと同じ」を提供する飲食店を続けることは経営上・ライフプラン上の選択肢であり

店舗が長く続けばその地域にとっても宝になると思いますし、事業者にとっても幸せな事だと思います。

 

しかし、多店舗化や事業の拡大をお考えの場合はこの「調理場から離れるとき」を明確にしておかなればなりません。

1店舗目で成功すると経営者はどうしても「同じ旨さ」と「同じサービス」を目指してしまいますが

セントラルキッチンにしない限り二店舗目、三店舗目の料理は社長ご人身で提供したものとは別物になります。

客層が異なる立地で有ればサービスも変わってきます。

飲食店の多店舗化を進めていく上で経営者に必要なのは

店舗と社員の数に合わせて組織を変えていきながら「旨さ」を提供することです。

そうなると社長自身が腕の良い料理人である必要は有りません。

多くの場合、二店舗目から三店舗目への移行期、早い方なら二店舗目から厨房から離れていきます。

これから飲食店の創業をお考えで多店舗化を事業プランに入れている方は現場からの卒業時期もプランに加えておいてください。


 

「これから飲食業を創業しようとする方に読んでもらいたいブログ」最後までお読みいただきありがとうございました。

次回のブログのテーマは農業・農業生産法人の創業についてです。12月17日に配信予定です。


 

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